『美味しんぼ』という漫画は本当に“常識人”が希少です。
主人公である山岡士郎や
父親の海原雄山自体がクセの塊みたいな人間ということもあります。
ヒロインの栗田ゆう子ちゃんは常識人に近いですが、
結婚後はそんな側面も薄れてきたような・・・。
それ以外の人物はとにかく性格に問題がある連中ばかりです。
ゲスト登場する人物は高確率で初対面の相手に高飛車かつ攻撃的な性格ですし。
さらに言えば東西新聞自体も大原社主や小泉局長を筆頭に変人だらけです。
そんなクセ者だらけの『美味しんぼ』ワールド
しかし、そこにも数少ない常識人(まともな人間)は存在しました。
ここではそいつらを紹介していきます。
・ 常識人NO1 岡星 精一
日本屈指の料理人でありながらとても情が深くて繊細な性格の持ち主。
その繊細さが料理の腕にも反映したのかもしれません。
だが繊細すぎるがゆえに鬱になってしまいます。
思えば弟の良三もビビりだったりすぐ泣いたり取り乱したりメンタルが弱い。
そういう兄弟なのかもしれないね?
・常識人NO2 谷村秀夫 (谷村部長)
漫画界屈指の「理想の上司」キャラ。
ギャーギャーうるさい上に問題ばかり起こす富井副部長とのギャップも大きい。
さらに東西新聞社は大原社主や小泉編集局長も大人げない性格の持ち主。
それだけにこの人物の懐の深さや大人の余裕・落ち着きはとても魅力的。
この人物を嫌いという人間はいないでしょう。
富井とは大違いです。
でも富井も富井で「ムードメーカー」と考えることもできなくもないですが。
・常識人NO3 中川得夫
山岡のことを執事のような立場・心境で見つめている善意の料理人。
山岡だけでなく美食倶楽部の料理人にも配慮が深い兄貴肌タイプの性格。
若干小心者の傾向もあるがそれでもこの作中ではとても立派な人物です。
栗田ゆう子は常識人か?
異論もあるかもしれませんが、やっぱり彼女は「まとも」な部類だと思います。
そもそも彼女は誰からも好かれて人望も厚く友達もすごく多いでしょう。
「変わり者」であればあれだけの人望は得られません。
学生時代の友達とかやたら頼られてることからもわかります。
性格は人相に必ず出ますから、
彼女の素直で明るい表情はそのまっすぐな性格をよく表しています。
『めぞん一刻』の音無響子もそうですが、
よく作品を読んで理解もできないのに「クズ」とか言われすぎです。
栗田ゆう子はここで述べた通りですし、
響子さんだってクズでも性格最悪でもありません。
あれは総一郎さんに対する思いが嘘だったのか、
裏切りになってしまうんじゃないかという葛藤が消せなかったからです。
女子高時代の恩師が言ってたでしょう?
彼女は“真実は1つしかない”と考えこんでしまうタイプだと。
総一郎さんを愛しているのに、
五代くんのことも愛してしまうなんて事実を受け入れられない。
要するに「絶対に二股なんてできない」性格なんですよ。
これほどの大和撫子はなかなかいないでしょう。
だからいつまでも五代くんや三鷹さんを振り回し、
引っ張り続けたわけです。
それだけ純粋であり不器用な性格なんです。
そもそも本当に性格悪かったら定収入かつ年下の五代くんと結婚しますか?
栗田ゆう子だって金持ちから何人も言い寄られて結婚を求められたけど、
さほど高収入というほどでない山岡と結婚してるでしょう。
どちらも本当に打算的で性格悪いなら金持ちと結婚してるはずです。
この同時期に連載していた両作品の二大ヒロインは大いに誤解されています。
奇しくも栗田ゆう子を演じる声優の荘真由美は
『めぞん一刻』のアニメ版にも郁子ちゃん役で出演しています。
そして『めぞん一刻』の音無響子を演じた声優の島本須美も
『美味しんぼ』アニメ版の『新妻の手料理』の回に出演しています。
栗田ゆう子の大学時代の友人・笠田みよ子役でね。
響子さんと郁子ちゃんの絡みが別作品で実現した感じでした。
そもそも「みよ子」って言えば、
荘真由美が『キテレツ大百科』で初代・野々村みよ子ちゃんを演じていました。
これは偶然なんでしょうか(笑)
ともかく個人的には栗田ゆう子は十分常識人のいい子ちゃんだと思います。
それだけに穿った解釈をされがちで可哀想に思えるわけで。
寒い冬だから...
『美味しんぼ』は冬こそ読む漫画です。
温かい鍋料理も多いし心温まるエピソードも多いから。
「常識人」は細かいキャラまで出せばまだいるかもしれませんが、
とりあえず岡星・中川・谷村部長の三人が筆頭でしょう。
それにしても3人とも揃いも揃ってゲイにモテそうな風貌。
これは偶然なんだろうか(笑)