こち亀の人気NO1エピソードとして名高い『浅草物語』

この作品は原作とアニメでどれだけ違うのかを実際にこの目で確認しました。

原作では57巻の8話で、アニメ版では110話で放送されています。



やはり特別なストーリーという思いがあったのか、

普段はラサール石井の声でタイトルコールがあるわけですが、

このストーリーでは全くの無音で、

黒い背景に白字で重々しく「浅草物語」と表示されるだけ



そしてCMまたぎの際のアイキャッチもなく、

そのままCMに突入する流れであり、

通常のレギュラー放送とは明らかに違う雰囲気。


あらすじの部分では大きな違いはありません。

両さんと小学三年まで仲良かった「けんちゃんこと」村瀬賢治

クラス一の優等生だった村瀬賢治がヤクザに身を落とし逮捕されていた流れ。


護送中にパトカー内で暴れて脱走し、

自らを裏切った「集英会」へ復讐に向かう...。



村瀬の脱走を知った両さんは

村瀬が子供の頃遊びまわった浅草の土地勘を利用して移動すると読み、

狭い路地裏を先回りして村瀬と対面。



激しい格闘になるものの、

村瀬を倒し「相変わらず喧嘩強いな」と言われる両さん。

そして子供の頃の思い出話で村瀬を説得して自首させる流れ。


だがアニメ版は30分だけあっていろいろ脚色がありました。

まず冒頭は両さんたちが同窓会で集まっている場面から始まり、

そこで村瀬が逮捕されたこととヤクザになっていたことを知ります。



また、子供の頃の村瀬が父親に厳しく叱られ家出して、

両さんの家に転がり込んだエピソードも追加。



喧嘩しながらも楽しそうに食事をする両さんたちを見て、

村瀬は「僕はこんなに楽しい食事をした経験がない」とこぼします。



また、村瀬の人生が転落したきっかけも語られます。

中学の時に両親が離婚したのが原因でした。


母親についていきたかったのに官僚だった父親に無理やり引き取られた上に、

父は汚職事件で逮捕されそのことで村瀬は学校でイジめられ、

カッとなり相手を暴行して少年院送りになりそこからは転落の一途だったと。



さらに村瀬の逮捕も集英会が村瀬をトカゲの尻尾にするためか、

潜伏先を警察にリークしたことによるものだったそうで。

大原部長も中川もその境遇には同情していたほどでした。


村瀬は原作以上に格闘面もかなり強く、

アニメ版の両さんも原作以上に超人的強さなのに、

その両さんとかなり互角にやりあっていたほど。



そして原作にはない両さんのアツい叱咤もありました。

自分が道を踏み外した経緯を語る村瀬に対して、「甘ったれるんじゃねぇ!自分の人生を人のせいにするな!自分の人生は自分で切り開くもんだ!」と叱責


これがまたカッコいいんですわ!



そして両さんに説得され自首を決意するものの、

ベーゴマを取りに行く流れも同じ。

しかし、夕方までに必ず出頭するという約束でしたが、

日没直前になってもなかなか現れません。



この件で大原部長は村瀬をすぐに逮捕しなかった咎を責められ、

このまま戻ってこなければ辞表を出す状況にまで追い詰められたのです。



しかし村瀬は必ず来ると信じて待っていた両さん。

それでもあきらめかけて署内に戻ろうとしたところ、

村瀬が走ってやってくる感動的なシーンが追加されています。



幼い頃の2人が駆け寄る映像が余計に泣かせる。

村瀬は30年ぶりで道に迷ってしまっていたとのこと。


両さんに両手を出して手錠をかけるよう促しますが、

両さんは「自首してきた奴に手錠なんてかけるか」と

肩を抱いて所内に入っていきます...。



あとは原作と同じようにベーゴマを隠していた神社で箱を掘り起こし、

中に入っていた手紙を読む流れ。



原作と文面やニュアンスは違っていたものの、

護送車で運ばれる村瀬は心晴れやかな表情になっていて、

これがまた泣かせる演出。



あとは原作では村瀬が両さんのことを「両ちゃん」と呼んでいたが、

アニメ版では「勘ちゃん」と呼んでいたことも違う点かな。


そして実家に向かう両さんで終わりという原作通りの流れ。

やっぱり映像と音楽が絡むと余計に泣けるストーリーになる。

寒い冬だからこそこの『浅草物語』にはとても心温まったわけです。