福本伸行先生の最高傑作であり、
未完に終わってしまっている『銀と金』
この作品は主人公である森田鉄雄が作中から姿を消してしまう衝撃作です。
作品的には主人公は「2人制」でありもう1人の主人公・平井銀二は残ります。
それでもそこまでのストーリーは森田目線で展開していた。
ある意味もっとも主人公らしい主人公が森田だったわけです。
そんな森田を作品から外してしまうというのはものすごく勇気がいる決断です。
『ドラゴンボール』でも主人公の孫悟空が一度作品から退場することになった。
しかし「主役」を引き継いだ息子の孫悟飯のキャラがあまりに弱く、
すぐに悟空を復帰させ結局生き返らせて主人公に「返り咲き」させました。
やぱり主人公というものは作品の生命みたいなものだし、
主人公がいなくなるなら作品も終わるほどの重要な存在です。
この『銀と金』は主人公が去ったにも関わらず、
作品を続けてしまった漫画史上あまり例のない作品と言える。
そしてその森田鉄雄は裏社会から引退してその後どうしたのか?
そこが気になるのです。
「悪党」に嫌気がさした上で「裏社会」から引退したわけです。
当然カタギの仕事をすることになる...。
しかし森田は西条とのポーカー勝負の後に、
「オレもあんたももう普通の人生はムリ」と語っています。
カタギになってスーツ着てサラリーマンになることなどできないでしょう。
ただ森田はキャッシュで10億円ほど持っているはず。
それがあれば一生働かずに生きていくことはできるわけです。
では働かずに地下から脱出した後のカイジみたいな自堕落な生活になるのか?
森田はカイジと違ってストイックな性格であり、
カイジみたいに堕落するタイプではないでしょう。
結局森田が生きる道は裏社会しかなく、
悪党が嫌いなら今度は「悪党を潰す」立場で戦うことを選ぶのではないかと。
福本先生は作品が続いていたら銀二と森田を対決させる予定だったと言及済。
森田は「正義」の立場で「悪」の銀二と戦うことになったのではないかと。
森田が引退する時田中沙織がそばに寄り添っていました。
彼女と結婚までいかなくても同棲する流れになったのかと想像もできます。
森田は伊藤美緒に告白された時は裏社会の仕事に専念する為に断っています。
しかし今度は裏社会を引退するわけですから田中を拒む必要もないでしょう。
どっちかと言えば金に汚い田中より美緒ちゃんの方が良いと思いますが。
どっちみち命を賭けた戦いを続け精神がすり減っていた森田ですから、
さすがに女が側にいて「安らぎ」のある生活を求めた可能性は高いです。
そもそもまだ22才ですし、性欲も旺盛な時期ですからね。
つまり、森田は結局裏社会からは完全に引退はできないものの、
今度は田中と一緒になり「正義」の立場で悪党を喰って成長していくと。
そんな展開が予想されるわけで。
『銀と金』の続編が読みたくて仕方ないのです。
あと森田鉄雄の「背景」も描いてほしいですね。
幼少期から銀二に会うまでどんな人生を歩んだのか。
それだけでコミック1巻分費やされても何の文句もないです。
近年はスピンオフ作品が盛んで、
福本作品でも『カイジ』の利根川や大槻の作品が人気です。
いっそ、『森田鉄雄の背景』みたいなテーマの作品を描いてくれないかと。
要望メールでも出せば動いてくれるかな(笑)